【稲刈り手順ガイド】準備から収穫後の作業まで一連の流れを分かりやすく解説!

- 稲刈りまでにしておくこと
- 効率的な稲刈りのためのコンバインの回り方
- 稲刈り前から終わった後までの全体の手順
「効率的な稲刈りの手順が知りたい」、「稲刈りが終わった後に何をすれば良い?」など、どうやって稲刈りを進めていけばいいのか、疑問が生まれてくると思います。
稲刈りは、初めての方にとっては大変な作業です。
しかし、適切な手順を知っていれば、スムーズに進めることが可能です。
この記事では、稲刈りの具体的な手順や稲刈り後の作業、適したタイミングを解説します。

我が家の稲刈りの方法を紹介します!
この内容がきっとあなたのお役に立つはずです!
記事を読めば、稲刈りの知識が深まり、作業をスムーズに進めることができるはずです。
それでは、いきましょう!
稲刈り前にしっかりと準備・計画

稲刈り前の準備は、作業の効率と安全を確保するために重要です。
そのため、準備や計画は手を抜くことはできません。
以下のポイントについて詳しく解説します。
- 必要な機械と道具
- 道具を整備するポイント
稲刈りに必要な機械と道具(我が家の場合)
効率的に稲刈りを進めるためには、以下の機械と道具が必要です。
- コンバイン(アーム付き)
- コンテナ
- コンテナ運搬用の軽トラック
- 鎌
- 作業服(帽子・軍手・長靴)
【乾燥機を持っている場合】
- 乾燥機
- 籾摺り(もみすり)機

我が家は乾燥機があるので、籾摺りもします!
【アーム付きコンバインとコンテナを使用】
我が家の稲刈りでは、刈り取った稲穂をコンテナに移すために、コンバインにアームが付いています。
【乾燥機の有無】
乾燥機がある場合、自宅で乾燥・籾摺りをして玄米にすることができます。
乾燥機が無い場合、稲刈り後、コンテナをJAに持っていくことで、作業は終了します。その収量と買取金額によって、収益が変わってきます。
機械を扱うため、必ず事前に潤滑油などの手入れをしておきましょう。
稲刈りをしている時に、コンバインが止まってしまっては稲刈りどころではありません。
乾燥機や籾摺り機も同様です。

稲刈り前、夏頃に機械をメンテナンスするために、道具をそろえておくといいですね。
機械や道具を適切に使うことで、効率的かつ安全に稲刈りができます。
道具を整備するポイント
道具を整備する際には、いくつかの重要なポイントがあります。
- コンバインの刃が詰まっていたり、ゴミが付いていたら掃除しておく。
- 機械の油圧レベルや燃料レベルをチェックし、適切に補充する。
- ボルトやナット、ベルトが緩んでいないかなどを確認しましょう。
使用前にに点検し、故障や摩耗がないかを確認しましょう。
そして必ず、コンバインや籾摺り機などの機械は、動作テストを行い、異音がないか確認しておくことをオススメします。

稲刈りまでに一度動かしているだけで、作業の安心感は格段に上がります。
手入れをきちんとすることで、機械や道具の寿命を延ばすことにも繋がります。
何でもそうですが、道具は大切にしていきたいですね!
稲刈りの時期とタイミングは計画的に!

稲刈りの時期は一般的に9月~10月頃が目安です。
ただ、地域や品種によって時期は違いがあります。
地域に同じ品種の方がいたら、いつ頃稲刈りをするのか聞いておくといいですね。

いつ田植えしたのか聞いておくことも忘れずに!
田植え時期がずれてると、稲刈りもそれだけ前後します。
有給を取って稲刈りする場合は、タイミングは超重要です
品種によるタイミングの違い
お米の品種によっては、稲刈りのタイミングが早かったり遅かったりします。
ここでは大きく3つに分けて紹介しますね。
早生(わせ):出穂後、30~35日程度
- 積算温度:出穂後、950~1,000℃程度
- 代表的な品種:キヌヒカリ、あきたこまち、きぬむすめ
中生(なかて):出穂後、35~40日程度
- 積算温度:出穂後、1,000~1,050℃程度
- 代表的な品種:コシヒカリ、ヒノヒカリ、つや姫
晩生(おくて):出穂後、40~45日程度
- 積算温度:出穂後、1,050~1,100℃程度
- 代表的な品種:ササニシキ、にこまる、ミルキークイーン
出穂は、稲の穂が茎の先端から外に出てきた状態のことを言います。
積算温度は、日ごとの平均気温を合計した数値です。植物の成長を予測する指標になります。
これらの積算温度や日数は、気候条件や栽培環境によって変動する可能性があります。
そのため、地域の気候特性や栽培条件に合わせて品種を選定することが重要です。

調べてみると、地域によって早生や晩生の分類も違うみたいですね。上記は参考程度にしてください。
稲刈りタイミングの見極めが大切!

稲刈りの適切なタイミングを見極めることは、米の状態や収量に直結します。

ピンポイントに最適な時期を狙うのは難しいですが、目安として知っておくことは大切だと思います。
稲の成熟度の見分け方
稲の成熟度を見分けるためには、以下のポイントが参考になります。
- 稲穂が緑色から黄金色に変わっているか
- 実がしっかり詰まっているか
- 稲穂に粘り気があるか
- 稲の葉が黄色く枯れ始めているか
- 稲の茎がしっかりして、簡単に折れないか
稲の葉が黄色く枯れ始めているかどうかの観察も大切です。
葉が枯れ始めている場合は、稲の成長が終わりに近づいています。

稲の茎が強いと、倒れにくくスムーズに稲刈りができます。
稲刈りにとって天候は重要

理想は、晴れが続いた日の10時以降です。
【晴れが続く】
前日が雨の場合、田の土がゆるく、稲が汚れたりコンバインの動きが悪かったりします。稲穂も湿っています。稲刈りはできますが、難易度は高いです。
【10時以降】
晴れの日、朝の早い時間は朝露がでます。朝早くに稲刈りすると湿ったままの場合があるので、10時を目安に朝露が乾いてから稲刈りをすることをオススメします。
稲が乾いている状態で刈り取りを行うと、乾燥作業が効率的に進み、品質の良い米が得られます。
雨天後の刈り取りは避けてください。
雨でぬれた稲は重くなり、収穫機械に負担をかけ、故障の原因となる場合があります。
ぬれた稲はカビや病気が発生しやすく、乾燥にも時間がかかります。
台風や風が強い日の刈り取りも避けたほうが無難です。
強風により稲が倒れるリスクがあり、機械での刈り取り作業が難しい場合があります。
霜が降りると稲の品質が低下するため、霜が降りる前に刈り取めましょう。
湿度が高い日は、刈り取り後の乾燥作業を徹底してください。
稲刈り開始!まずは角の稲を手刈りする

稲が十分に成熟していたら、コンバインで刈ることができない角を手刈りしていきます。

最初の作業から手刈りで大変ですが、角を刈っていないとコンバインが稲を踏み倒して刈れなくなってしまいます。
目安としては、稲を角からタテヨコ8列ほど刈っておくと、コンバインが回りやすくなります。
手刈りした稲は畔に寝かせておきます。
後ほどコンバインで近くを通った時に、手刈りした稲もコンバインに入れて脱穀します。
角の4か所を同様に手刈りをして、稲を寝かせておきます。
これで手刈り完了、コンバインで稲刈りする準備ができました!
稲をコンバインで刈る(コンバインの回り方)

我が家のコンバインの工程は大きく分けて次の5つです。
- 外側の直線を刈る
- 角を切り返しながら刈る
- ①・②を繰り返して外周を刈る
- 外側からタテヨコを繰り返して刈る
- 稲が溜まったらコンテナに集める
- ④・⑤を繰り返して刈る
- 残りの稲穂が少なくなったらタテのみで刈る
- 刈り終わったらコンテナに移して終了
成熟した稲を取りこぼさないように、丁寧に刈っています。

コンバインの大きさや、田んぼの形などによって、回り方は様々です。
父も時折、コンバインの回り方を変えて改善に取り組んでいます。
よりベストに近い状態を目指して、頭を悩ませながら取り組む姿は見習いたいですね。
我が家での基本的な回り方を紹介するので、ぜひ参考にしてみてください!
イメージをつかみやすくするため、田んぼは真四角と仮定して説明しています。田んぼの形は皆さん千差万別で、全く同じようにはできないと思いますが、ご了承ください。ご自身の田んぼでアレンジして稲刈りしてみてください。
① 外側の直線を刈る

稲刈りは、一番外側から刈っていきます。
手刈りをした角まで、畔のスレスレを通りながら、左回りになるように進んでいきます。
なぜ左回りなのかというと、2条刈りの場合はコンバインの左側が稲刈り部分、右側が操縦部分になるので、左回りにしないと内側が刈れないからです。
もし、右回りに進んでしまうと、内側が刈れず、内輪差で稲を踏み倒してしまい、食べられなくなってしまうんです。

稲を踏み倒してしまうと、刈ることは難しくなります。
できる限り踏み倒すことなく進めて行きたいですね!
② 角を切り返しながら刈る

コンバインが曲がるためには、まだ狭いため少しづつスペースを広げていきます。
広げなければ、左回りだとしても、曲がることはかなり難しいと思います。

僕はいまだに十分に広げないと、コンバインで上手く回れません。
バックして、少し斜めに刈って、バックして…を3回ほど繰り返せば、余裕を持った広さになります。
③ ①・②を繰り返して外周を刈る

①と②を繰り返し、田んぼの外周の稲を刈っていきます。
この工程は時間がかかる割に、なかなか多くの稲を刈ることができません。

早くガーっと刈りたいところですが、ここは焦らずじっくりと!
この後、どんどん稲を刈っていくためにも外周は確実に進めていきましょう。
焦るとコンバインを畔にぶつけたり、稲を倒したりしてしまいます。
そうなると余計に時間がかかるので、ここは丁寧さを最優先で!
④ 外側からタテヨコを繰り返して刈る

ここからどんどん稲刈りを進めていきます!
タテヨコのそれぞれ外側を刈っていきます。

田植えが真っすぐにできていれば、きっと田植え機で迷うことはないと思います!
何回も繰り返せば、刈った稲がどんどんと溜まってきます。
コンバイン内の稲が一杯になったら、ブザーを鳴らして教えてくれるので次に行きましょう!
⑤ 稲が溜まったらコンテナに集める

軽トラにコンテナを乗せておいて、刈った稲をコンテナに移していきましょう!
稲を積み終わったら軽トラで自宅(乾燥機)に入れておきましょう!
コンテナが空になったら、また軽トラで田んぼに戻って稲刈り再開です。

2人以上で稲刈りができると、1人は軽トラで稲を運んでいる間に、もう1人がコンバインで稲刈りを続けることができます。
作業効率を考えると、稲刈りは2人以上で行いたいところですね。
⑥ ④・⑤を繰り返して刈る

この調子でどんどん稲を刈っていきます。
刈っては運ぶ、刈っては運ぶの繰り返しです。

正直、この時が一番楽です。
いつも鼻歌まじりで気持ちよくなってます!
ひたすら続けていると、気が付けば、田んぼの稲穂が少なくなっているはずです。
ここから稲刈りの仕上げです!
⑦ 残りの稲穂が少なくなったらタテのみで刈る

稲穂が少なくなり、刈る場所が狭くなるとタテ向きのみ刈るようにします。

理由は、この狭さでタテヨコに刈っていると効率が悪いからです。
こうすることで、少しでも早く稲刈りを終えることができます!
⑧ 刈り終わったら、落ち穂を拾ってコンテナに移して終了

稲穂を刈り終えたら、最後のひと手間!

落ち穂を拾いましょう!
落ち穂は、コンバインで刈り取りできなかった稲穂のことをいいます。
田んぼ内には、けっこうな量の落ち穂が残っています。
人によっては、落ち穂は気にする量ではないかもしれません。
ただ、せっかく丹精かけて育てた稲を、こぼれ落ちたままにするのはどこか寂しいですよね。
落ち穂を見つけ、その手で拾うことで、お米を取りこぼさなかった自分が清々しいと感じます。
田んぼを歩き回り、各所の落ち穂を拾っていきます。
拾いきったらコンバインに刈り取らせましょう。
そして、コンテナに稲を移し、田んぼから出れば稲刈り終了です。
後は気を付けて、コンバインで道路を走って帰りましょう!
刈り取った稲をコンテナに移す

稲刈りの途中で、何度も稲をコンテナに移すことになります。
コンバインの中に溜まった稲を移動させないと、それ以上稲刈りを続けられないからです。
稲をコンテナに移す流れは次のとおりです。
- コンテナを積んだ軽トラックを田んぼ近くに停める
- 稲が溜まるまで稲を刈る
- 稲が溜まったら軽トラック近くに移動
- アームをコンテナの上に構える
- 稲を移す
- 移し終わったら、軽トラックを移動させる
- コンテナ内の稲を乾燥機に入れる(JAに持っていく)
- ①~⑦を繰り返す

稲を回収するためのコンテナを軽トラックに積みます。
畔や農免道路など邪魔にならないよう、田んぼの近くに停めましょう。
ひたすら稲を刈り続けましょう!
コンバイン内に稲が溜まったら、ブザーが鳴って教えてくれます。
稲刈りをストップして、コンバインで軽トラック近くに移動します
コンバインの後ろ側に軽トラックがあるように移動すると安定します。
コンバインのアームをコンテナの上に来るように操作します。
ズレると稲がコンテナの外に漏れてしまい、もったいないことになります。
稲を移すスイッチを押し、コンテナに稲を流します。
稲を移している間は原則コンバインは動かしません。
移し終わったら、アームを定位置に戻します。
アームは自動で戻るタイプが増えたので、非常に楽ですね!
自宅に乾燥機がある場合は、コンテナを持って帰り稲を乾燥機に入れましょう。
反対に乾燥機が無い場合は、JAにコンテナごともっていきましょう。
軽トラを元の田んぼの近くに停めて、再度稲を集めていきましょう!
STEP1~7を繰り返していきます。

田んぼの中の稲が無くなるまで繰り返します。
ただ、効率よく稲刈りするには、やはり2人以上は欲しいですね。
乾燥機に入れて、稲を乾燥させる

コンテナに入れた稲は、軽トラで運び、乾燥機に入れます。
乾燥機が対応できるおおよその容量を確認しておくといいですね。
この乾燥は時間がかかります。
乾燥温度によっては6時間~24時間ほどの差があります。
我が家の場合は、25%程度の稲を、24時間かけて15%程度に乾燥させます。

時間をかけて乾燥させるのは、うちのお米のこだわりポイントです!
ゆっくり乾燥させた方が、割れが少なく、より美味しいお米ができていると感じているからです。
田んぼの広さや乾燥機のサイズによっては、1回の乾燥ですべての量が終わらないこともあります。
この乾燥作業があることにより、稲刈りを一気に大量にやってしまうことは難しいです。
稲刈りと乾燥のスケジュールを考えながら進めていく必要があります。
さらに乾燥後は次の籾摺り(もみすり)の工程もすぐ行うことになります。
籾摺り(籾摺り)をして玄米にする

籾摺り(もみすり)作業は、稲から籾殻(もみがら)を取り除き、玄米にする工程です。
乾燥機と籾摺り機を繋ぎ、稲が自動で流れるように設置します。
乾燥機から稲を送り、籾摺り機で籾殻を取り、できた玄米を袋に入れていきます。
そして、玄米を入れた袋を倉庫に積んでいきます。
出てきた籾殻は、田んぼに返すか、畑に肥料として使用するといいですね。
ここまでの、稲刈り→乾燥→籾摺りまでの工程が1セットになります。

兼業農家として、この工程を何回も繰り返すと、かなり有給を消費してしまいます。
スケジュール管理はかなり難しいですが、天気と本業の状況をよくよく調整しながら稲刈りを進めていけるといいですね。
まとめ:今日までの苦労が稲刈りで報われます

稲刈りの成功は、今日までの田起こし・代掻き・田植え・水管理・消毒・稲刈りと、そして大量の小さな作業にかかっています。

お疲れ様でした!
稲刈りにたどり着くまで、本当に大変でしたね!
これほどまでに大変であるにも関わらず、病害虫や台風や長雨によって、だめにもなる可能性もあります。
そして、稲刈り時に天気に恵まれなければ、ベストの収穫時期を逃し収穫量を落としてしまうこともあります。
さらに、稲刈りを済ませても、乾燥と籾摺りでさらに多くの時間を消費します。
そんな苦労と困難の先に、あなたの目の前には、白く輝き、甘さで癒し、苦労を労ってくれる格別のお米ができることと思います。
この味は、きっとあなた自身でしか味わえないはずです。
僕自身も父から米作りを学んで、お米の美味さが変わった気がしています。
ぜひ、身近な方々や友人にその美味しいお米を届けてください。
あなたの苦労を感じ取り、その美味しさに喜んでくれると思いますよ。
その喜びをお互いで感じることが、僕はお米作りをする理由の一つになっていました。
兼業農家でお米を作ることは大変ですが、この喜びを感じ続けられるように、来年も美味しいお米を作っていきたいですね!
最後まで読んでくださり、ありがとうございましたー!